就任以降、超変革を掲げて阪神タイガースを内からも外からも変えていこうと奮闘している金本知憲監督ですが、ことキャプテン鳥谷敬に対しての要望はもの凄く強いですよね。
「鳥谷が変わらければチームは変わらない」
そういう思いを込めて、鳥谷本人にも、またメディアに対しても強く発言してきた指揮官ですが、個人的にはちょっと要望が高すぎるような気がしてなりません。
春期キャンプの第2クールが終了した9日現在では、指揮官から見た鳥谷敬の変革は、「超」ではなくまだ「ミニ」といったところでしょうか。
たしかに鳥谷が変わることは、阪神タイガース全体を大きく変える可能性はあると思いますが、鳥谷一人に課せられた重圧が重すぎるような気がしてなりません。
声を出せ、チームを盛り上げろ、打率は3割だ、ホームランは20本は欲しい、守備も任せた、盗塁もよろしく。
「鳥谷は物足りない」
金本監督が、そう発言する裏には、鳥谷敬の実力がこんなものではないことを金本監督が知っているからだとも言えますが、ちょっと求めすぎじゃないかな、と。
それでもここまでのキャンプを見てきた金本監督は、少しずつ手応えを感じているようです。
「トリは、そうね…。シートノックでも、いろいろヤジったり、声出したり。変わりつつあるのかなと。キャプテンの自覚を当然、持ってもらわないとね。期待に応えてくれようとは、してくれているんでね。彼自身が変わろうとしてくれていることは、すごく助かる。助かると言えば語弊があるけど、本当に。行動も言動も成績でも、全部で引っ張って行ってほしい」
たしかに鳥谷は声を出して、感情を表に出してがんばっている。
チームの雰囲気も変わってきてるようです。
だけど、それだけではまだ「ミニ」ということになる。
やはりプロの世界、ましてや1番注目される阪神タイガースという球団のキャプテンとあれば、打撃や守備の数字というものも問われてくるんですよね。
でも、そこまではもう十分なんじゃないだろうか、と僕は思う。
コンスタントに3割を越える打力があるとは思えないし、20本以上のホームランを量産するタイプでもない。
6番ぐらいの打順で、クリーンアップが取りこぼした打点を稼ぐようなバッターで良いのではないだろうか。
ソフトバンク松田のようなポジションでチームを引っ張る役目が最適なのではないかと思う。
「できるなら全部、変わりたい」
鳥谷選手も金本監督のゲキに対して「できるなら全部、変わりたい」と熱く呼応しようとしている。
インタビュー動画でもその部分を語っています。
これまでのすべてを変えたい。
それは、はたして可能なのだろうか?
僕の考えですが、おそらくそれは無理だろうと思います。
声を出したり、感情を出したりすることはできる。
意識さえすれば良いことだと思うから。
でも、打撃や守備の向上は、正直厳しいのではないかと思ってしまう。
昨年はゴールデングラブ賞を獲得しながらも、自己ワースト3位となる14失策を記録してしまいました。
年齢的な衰えは、本人が頭の中で考えているよりも進行しているのではないかと思います。
打撃に関しても、1番を打ったり3番を打ったりとなかなか固定できなかったりもして、数字としては寂しい結果になりました。
6番サード鳥谷
ショートというポジションは、守備においては要となる場所です。
1つの2塁ベースをめぐって、状況に応じて二塁手と入れ替わりベースに入らなければならないですし、バント処理やゲッツープレイなど守備での負担が大きいポジションです。
守備の名手と言われた元ヤクルトの宮本慎也は39歳までショートのポジションで活躍しましたが、それはかなり特例な気がします。
本来であれば20代の若い選手がショートのポジションを奪って、鳥谷はサードでしっかり内野陣全員をサポートする役目のほうが良いと思います。
じゃあ、誰が鳥谷の変わりにショートをやるの?って話になりますが、そうなると名前を上げることのできる選手がいないのが現在のタイガースの苦しいチーム事情なんですよね。
鳥谷がメジャー挑戦をするかもしれないと噂された時期には、大和がショートに入る予定でした。
ですが、今の状況でわざわざ鳥谷をサードにして大和をショートに起用するという選択にまったく魅力を感じません。
そこまでの打力が大和にあれば別ですが、鳥谷を追いやるまでではありません。
それならばそこそこ守れて打てるサードを起用するほうが良いでしょう。
セカンドとサードの争奪戦がヒートアップして取り上げられていますが、じつは1番老朽化が進んでいるのは、阪神タイガースのショートだと思います。
速やかに鳥谷に変わる選手を育て上げること。
これは生え抜きの4番を育てることよりも急務だと思えてなりません。
6番サード鳥谷。
これが他チームにとって1番脅威になると思うのですが、早く実現できるような素晴らしいショートが出て来て欲しい。