重い荷物がまたひとつ減った。
鳥谷敬が背負い続けた連続出場という記録が今年でストップした。
それに続いて、来年からの野手キャプテンという役割もなくなった。
かわりにキャプテンを務めるのは野手最年長の福留となった。
金本監督の決断に、チーム最年長のベテランが応えるという格好になった。
キャプテン福留で鳥谷を身軽に
2017年のチームキャプテンに就任することに決まった福留へ、金本監督は期待の言葉を口にした。
「鳥谷を身軽にしてやってくれ」
まさにそれこそが鳥谷を縛り付けていた2つ目の重荷だった。
静かな闘志で、ひたむきに。
そんな形容がぴったり似合うのが鳥谷のプレーだ。
先頭に立って大きな声でチームを鼓舞するタイプではない。
それでも、鳥谷は5年間もの永きに渡ってキャプテンを務めてきた。
マンネリと言ってしまえば仕事感が強くなるが、連続出場、ショートの守備、キャプテンという役割を永く務めたことで鳥谷の中に「当たり前」という気持ちがあったのかもしれない。
そして、今季は未曾有の不振に陥った。
そんな鳥谷の負担を軽くし、チームをまとめられる存在は福留以外に見つからない。
来年で40歳となるベテランは今季も野手陣では一人気を吐いた。
以下は金本監督の説明。
「やっぱり最年長で、実績もある孝介に頼むのが一番、いいのかなと。両者(福留と鳥谷)納得のもと。ちゃんと、お話しをして。やってくれないか、と。ちょっとトリの肩の荷をね。ああいう成績やったし、チームのことよりも自分のことに専念したいだろうし。身軽にしてやって。その分、孝介にちょっと…。背負うと言ったらオーバーかも知れんけど。やってくれんか、と。まあ快く引き受けてくれたよ」
生え抜き選手以外がキャプテンに就任するのは、球団史上初となる。
何よりもこれまでの実績と経験はチーム内でもピカイチで、そして若手選手にも助言や叱咤激励をする思いやりと闘志も兼ね備えている。
生え抜きではないという定説を無視しても、福留以外に鳥谷の代わりになるキャプテンは見当たらない。
糸井の加入によって福留頼みだった打線の負担も軽減されると予想されるので、これ以上の人選はないだろう。
また、福原が務めていた投手キャプテンについてだが、役職を設けないことも金本監督は明かした。
「やっぱり投手陣も高齢化してきているかな。福原が辞めて、球児も来年で37歳。能見も38歳、安藤が40歳。まあ体は若いからね、能見も球児もね。球威もそんなに落ちていない。本当引っ張っていってほしい。経験、失敗談、成功例とか、いろいろ。どんどん後輩に言っていってほしい」
投手、野手ともにベテラン、中堅、若手が良い感じに混ざってきた。
そこで今年成績を残せなかった者がいかにして、来季に復活を遂げるのか、その一人としてキーマンの鳥谷が復活するためにキャプテンの任を解いた。
福留にかかる期待が大きくなったが、糸井の加入と高山の安定感を見越しても、キャプテンの仕事は務まるだろう。
きっと来季こそ優勝する。
そのためには福留のキャプテンシーが必要になってくる。