藤浪続投の理由!広島戦でなぜ金本は 投球数で交代させなかったのか

2016年7月8日 甲子園

阪神2―8広島

あっけにとられた。

その日、甲子園では

信じられない事態が起こっていた。

阪神のエースとしてのプライドを

ズタズタに傷つけられたあげく、

その公開処刑は終わらなかった。

2016年7月8日

本拠地甲子園が大きなため息と

疑問に包まれた。

じつに161球。

藤浪晋太郎は金本監督の

「気」の持論の餌食となった。

大事な首位チームとの3連戦。

その初戦を任された若きエース。

負ければ自力優勝が消える一戦。

それは藤浪自身も理解していた。

エースとして、

その試合にかける気持ちは

人一倍強かった。

しかし、立ち上がりから

本来の投球は影を潜め、

好調の首位広島打線につかまり3失点。

さらに2回にはソロホームラン。

3回にも1失点をくらった。

フォアボールから招く失点

今年の藤浪晋太郎が勝てない投手に

なっている要因だ。

この試合は、そんな藤浪の弱味を

凝縮したような印象を受けた。

結局、藤浪は8回を投げて

被安打7、与四球6、8失点。

打席の切れ目で、何度でも交代させる

タイミングはあった。

それでも、金本監督は

藤浪をエースとして成長するために、

降板を許さず、懲罰を続けた。

まるで公開処刑のような仕打ちに、

相手広島のファンですら、

藤浪に同情する声があがった。

8回の藤浪は、フラフラで意識朦朧と

する中、真夏の幹線道路を歩かされて

いるような状態だった。

広島のバッターに対して、死球を与えた。

危険球となるような球も見受けられた。

プロ初のボークまで披露してしまった。

エースとして、

一人のピッチャーとして、

いや、一人の人間として、

そのプライドはズタボロに扱き下ろされた

金本監督はあえて鬼になったのか?試合後コメントから読み解く心理

試合が終わり、自力優勝が消滅した。

これで首位広島とのゲーム差は

13.5ゲームとなった。

ほぼ絶望的となった今シーズンの優勝。

それを台無しにしたエースの不甲斐なさ。

試合後には、記者から嫌が上でも

その懲罰投球に対しての質問が飛んだ。

それに対する金本監督の回答が以下だ。

「きょうは最後まで投げさせるつもりだったけどね。もう何点取られても。責任いうか、あの立ち上がりがすべてでしょう。何にも変わっていない。もう何回連続やろ?」

怒りと期待と諦めの感情が

ミックスされたような発言だった。

まだコメントは続く。

「昨日、青柳で勝って、さあマツダスタジアムの3連敗のリベンジというところでアレじゃ。やっぱりね。去年14勝した投手のやることでは、ないでしょ。正直、予定では10勝に行っていてもおかしくない投手。普通にやっておけば。それがチームの借金につながっていると言ったら、全部を背負わせ過ぎかもしれないけど、それくらいの責任はね。感じないといけない立場」

期待を込めたからこそ、

それを裏切られたことに対する悲しみ。

決して単調な感情ではないのだろう。

しかし、

期待するからこそ、なのだろうが、

161球も投げさせることに

果たして何の意味があるのだろう?

理不尽な怒りをぶつけられて、

人は成長するのだろうか?

藤浪の肩は、今後、大丈夫なのだろうか?

色々な疑問と不安が僕の中に芽生えた。

球数161球がどれほどヤバい数字なのか?

投球数に絶対は無いが、

少ないほうが良いに決まっている。

投球というのは大変なハードワークで、

全力投球をすると、毛細血管は切れる。

この記事を読んでいる人は、

試しに今、思いっきり腕を

振りかぶってみてほしい。

指先がピリピリと痛くなっていると思う。

これは毛細血管が切れた状態だ

プロ野球の投手は、

もちろん毎日トレーニングやケアを

しているので、一般の人よりも

投球した後の状態は違う。

しかし、プロの一軍の舞台で、

161回もそんな状態を体験する

というのは、尋常な体力消費、

精神消耗にならないだろうか。

それでも、

公開処刑にも近い昨日のそんな惨状を

その発端を作った金本監督を

たしなめたり、いさめたりする

新聞報道、ネット報道などは

1日が経過した今も無い。

これはなぜか。

今のタイガースの記事から

金本監督を取ったら何も残らない

からだ。

つまり、記者達は金本監督から

嫌われたら「即終了」なわけである。

これでは公平な記事なんて書けない。

金本監督は現役時代に

「記者を遮断」したことがあるぐらい

報道陣に対してナーバスになる

ことがある。

「どうせ君らは、こう書くんやろ?」

とおどけて冗談っぽく言うシーンや

記事を見たことがあると思うが、

あれも金本監督のトラウマが

そうさせているのだと思う。

在阪記者達は、今、

金本監督を悪く書いて嫌われることに

よる「損失」に怯えながら言葉を選んでいる。

僕のように「公開処刑」なんて

単語を使っている新聞はない。

昨日の晋太郎は、

公開処刑以外の何者でもなかった。

そんな金本監督の「気」の

餌食になった藤浪晋太郎の試合後の

コメント。

「いきなり先頭に四球で、一番やってはいけない形で先制点を献上した。自分の弱さだと思う。悔しいですし、自分自身に腹が立つし、情けない。そういう気持ちしかない」

追い込まれた若者は、

力無くそう語った。

阪神タイガースという人気球団の

期待と未来を、藤浪晋太郎は

背負わされすぎてはいないだろうか?

「エースの責任感じてくれ」

金本監督の持論である「気」は、

藤浪にはないのだろうか。

気持ちが入った状態でも、

仕事がうまくいかないことはある。

会社員だって、サービス業だってそうだ。

「気」があっても空回りすれば

他人からは「ダメだ」という

烙印を押される。

逆に「気」の抜けたリラックス状態で

最高のパフォーマンスを発揮して

仕事がうまくいく時だってある。

気持ちや気迫だけで、

フォアボールが無くせるなら、

野球の世界から「四球」の文字は消えるだろう。

藤浪に対する期待が大きすぎる。

このままでは、彼はどんどんスケールの

小さい選手になってしまう。

少し冷静に見てほしい。

われわれファンも、球団も、

少し藤浪のことを過小評価しても

良いのではないかと思う。