日本でトップクラスの人気を誇るスポーツである野球。最近はメジャーリーグに注目する日本人も多く見られます。野球はルールが複雑で、細かい所まで色々と決まっているスポーツではありますが、一方で不文律も無くはないようなんです。
今回は野球の不文律とはどのようなものがあるのかについて紹介します。
不文律とは?
不文律とはそもそもなんなのかという話ですが、不文律はルールブックなどに明確に記されてはいないものの、慣習的にルールとして根付いているような決まりのことを指します。いわゆる「暗黙の了解」、黙っていても各々了承しているルール、といったことになりますね。
野球においては公認野球規則に記されていないものの実質的にルールと化している決まり事が不文律にあたります。
NPBの主な不文律は?
野球の不文律は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。まずは日本のプロ野球(NPB)の不文律を紹介します。NPBでの暗黙のルールは、ある程度他の野球でも共通するところがあったりしますよ。
捕手のサインを盗み見てはいけない
野球ではバッテリーの意思伝達は捕手からのサインによって行うことが主です。打者は後ろを向いて捕手のサインを盗み見てはいけません。⋯⋯まあ、これに関しては捕手が見られた後に再度サインを変更したり、打者が投手に集中していない隙をついて投げさせたりすればいいのですが、とにかく「サイン盗みは悪」という前提がある以上、打者が捕手のサインを見ることはまずありません。
ランナーから打者に伝達するのも駄目
問題なのは、2塁にランナーがいて捕手のサインを容易に見ることが出来る時。二塁ランナーが打者にサインを伝達するのも駄目なのですが、コレに関しては最近でも度々「実際に敵チームへサイン盗みの嫌疑をかけた事例がある」「ランナーを2塁に置いた時だけ極端に打撃成績が良い」といった出来事やデータから、サイン盗みが問題になることはあります。尤も、ここしばらくサイン盗みの事実が認められ、ペナルティが発生したという事実はありませんけどね。
大差リード時に攻撃側は一定の配慮をしなければならない
大差がついたゲームでは、リードしている攻撃側はバントや盗塁をしてはならず、スリーボールノーストライクから打ちにいってはならないという不文律もあります。特に大差での盗塁は「不文律に反した」とやり玉にあげられやすいです。
とはいえ、2025年のシーズンでも8回9回で6点差を追いついた試合などもありましたし、野球は点差があっても最後まで分からないスポーツ。「リード側にそういった配慮を求めるのであればビハインド側は勝負を捨てるのでなければ筋が通らない」という意見もあり、近年はこの不文律に反するような行動もあまり問題視されない傾向にあります。
ノーヒットノーランなどがかかっている時にバントヒットを狙ってはいけない
相手先発がノーヒットノーランペースで投球を続けている終盤にバントヒットを狙ってはいけないという不文律も。ノーヒットノーランは偉大な記録ですが、食らう側としては屈辱。ヒット一本打てないような素晴らしい投球をしている相手にはバントヒットを狙うのも有効な作戦のように思えますが、言われてみるとそういったシチュエーションでバントする打者というのは記憶に無いという人も多いのではないでしょうか。
野球はあくまで興行、ノーノーを期待する観客達の中で、クリーンヒットで阻止するのであればともかく、バントヒットを狙うというのはファンとしても見たくはありませんよね。
不文律を破るとどうなる?
あくまで不文律は不文律、規定されているものではないので、不文律を破ってしまった際のペナルティは定められていません。その代わり、不文律を破ったプレイヤーやそのチームの選手に故意死球が与えられるというケースはよくあったようです。
現在では故意死球は問題視されており、そもそも死球を与えるということは出塁を許すということでもあって、味方に不利益を生む行為なので「不文律を破ったから故意死球を当てられた」というケースは基本的に見ません。
不文律が明文化されたケースも?
過去にはゲッツー崩しという、一塁走者がゲッツーの危機の時にスライディングで二塁ベースに入ったプレイヤーの守備を乱すプレーが一種の技術と見られていた時期があり、併殺打を防ぐなどの目的で危険なスライディングをしてはいけないというのも不文律の一つとなっていました。ホームのクロスプレーでの捕手のブロックやランナーの体当たりについても同じで、怪我を誘発するようなプレーをしてはいけないという暗黙のルールのようになっていたのですね。
これらは現在「コリジョンルール」「ボナファイド・スライド・ルール」として、後に明文化されることとなりました。
高校野球での不文律は?
高校野球においては、高校毎の実力差がプロの試合よりも大きいという組み合わせが多く、大差の試合が発生することも多いです。特に甲子園大会では注目度の高さから目立ちやすく、さらに予選では採用されることもある点差コールドが採用されていないのでとんでもない点差の試合が目につきやすいです。
しかし高校野球、高校の部活はあくまで教育の一環とされており、高校野球では「最後まで全力」が美徳とされていることから、点差によって手加減しているともとれるような不文律は重視されない傾向にあります。そもそも一発勝負の高校野球、万が一にも攻め手を緩めて逆転されるなんて許されませんからね。
高校野球で重視される不文律も
野球の不文律には本塁打などの際に大げさにガッツポーズをとったりしてはいけないというものもあります。必要以上に喜びを爆発させるような行動は相応しくないということなのですが、この不文律は特に高校野球で重視される傾向にあります。
本塁打の際にも全力疾走で素早くダイヤモンドを一周することが求められ、ガッツポーズなどが咎められるという事例もなくはありません。しかしこれらの不文律も、近年は昔ほどは厳守を求める風潮も無くなってきていると言えそうです。
MLBでの不文律は?
メジャーリーグにも不文律はあります。野球用語ではありませんが「アンリトゥンルール」なんて呼ばれたりもしますね。メジャーでは日本よりも不文律を守るべしという姿勢が強い側面もあり、前述のような不文律を破った場合にファンからブーイングが起こったり、監督が選手を叱責したりという事例がありますよ。
乱闘に参加しなければ罰金も?
「野球といえば乱闘」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、近年は乱闘は減ってきています。そんな中でも、日本よりもメジャーの方がまだ乱闘が起こる回数も多く、「乱闘になってしまった場合はベンチやブルペンの選手も乱闘に参加しなければならない」という不文律によって多くの選手がダイヤモンド内に入り乱れることになります(この不文律には「乱闘の静止のため」という理由もあるようです)。なお、乱闘に参加しなかった選手は罰金になってしまうという噂もありますよ。
出展:SPOTVNOW
最後に
今回は野球の不文律とはどういうものなのか、高校野球とプロ野球とメジャーリーグでの違いなどについて紹介しました。近年はルールに明記されていないためにあやふやな不文律というのは、特に日本では疎まれる傾向にあるようにも思えます。いずれ不文律というものが完全に無くなる日がくるかも知れませんね。
