2023年に開催されたWBCで見事決勝戦でアメリカを倒し一躍注目を集めた野球界。現在ではメジャーで活躍する大谷翔平選手や山本由伸選手を含め数多くの選手が国内のみならず海外でも大活躍しており、日本でもプロ野球シーズンの中、これをきっかけに野球に興味を持った方が多いはず。今回は、野球用語の一つであるDH(指名打者)という言葉について詳しく解説していきたいと思います。
DH(指名打者)という言葉の意味について
そもそも野球におけるDHとは、英語で「Designated Hitter」の略で直訳すると「指定された・専用の打者」という意味になり、日本では「指名打者」と呼ばれています。
これは野球の中でも特殊ルールの一つで、一般的に選手は攻撃時に打者として打順を組まれ更に守備時には各ポジションについています。しかし、DHの選手は投手の打順の場所に代わり組み込まれます。つまり守備にはつかず「打つ専門」として指名されるシステムのことをDH制度というわけです。そのため、DHとして打席に入る選手はあくまで投手の代わりとしてなので、ほかの選手の打席には入ることが出来ません。
DHが導入されているリーグでのルール
このDHシステムはすべてのリーグで導入されているというわけではなくDHシステムを導入していないリーグもあります。DHシステムを使用しているのは以下のリーグになります。
- アメリカン・リーグ=ア・リーグ(1973年から導入開始)
- ナショナル・リーグ=ナ・リーグ(2020年から導入開始、しかし2021年には一度不採用になっている)
- パシフィック・リーグ=パ・リーグ(1975年から導入開始)
日本野球ではパ・リーグでDHシステムが導入されているものの、セ・リーグでは導入されていないようですね。また日本シリーズの時には、パ・リーグの本拠地で試合が行われるときのみDHシステムを用いているようです。
DHシステムを導入しているリーグ
またこのDHシステムを導入しているリーグの場合、下のようなルールがあります。
- 必ずしもDHシステムを使用しなくてもよい(ただし試合途中からDHを入れることは不可)
- 使用する場合は、試合開始前のスターティングメンバーの決定時に打順を決めて提出する
- スターティングメンバーのDHは、試合の途中で解除し、守備メンバーの9人の身にすることもできるが、そのためには少なくとも1打席は完了する必要がある
監督の采配によってイレギュラーな場合が起こりうる、ということがあるのがこのDHシステムを導入することの面白さですね。
DH導入のメリットとデメリット
DH導入により、リーグによっては大きく分けて二つのメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを見ることによって、野球観戦やプレーをするにあたってもより楽しくできると思うので紹介していきたいと思います。
メリット
メリットを紹介します。
投手の体力温存が可能
一つ目は投手の体力温存が可能になるという点です。野球は、投手の体力や配球は大きく試合の命運を分けるといっても過言ではありません。その投手が打者や走者として攻撃に参加してしまえば、さらに負担がかかってしまい守備に影響を起こす可能性があります。そのためこのDHシステムを導入することによって、投手は体力の温存ができる上に投球に専念できるようになります。
打撃専門の選手の能力を特化する
二つ目は打撃専門の選手の能力を特化することが出来るという点です。投手が投球に専念できると同時にDHの選手は打撃のみに手中することが出来るのもメリットの一つです。「打撃力では優れているが守備が苦手」という選手がDHの選手になることによって、普段の練習から打撃特化の練習に集中することが出来、結果としてチームの攻守両面の特化にもつながります。
デメリット
デメリットを紹介します。
控え選手の出場回数が減ってしまう
一つ目は控え選手の出場回数が減ってしまうという点です。DHシステムを導入していないリーグでは投手や野手が入っていた打順に代打を送りこんだり、出塁した時には代走を出したりすることが多く、控え選手が試合に出場する機会があります。
一方で、DHシステムを導入しているリーグでは代打や代走を当てることが出来るものの、実際には次の回で投手を交代させるだけで済むため、控え選手が活躍できる機会が減ってしまします。
試合展開が単調化してしまう
二つ目は試合展開が単調化してしまうという点です。DHシステムを導入していないリーグでは「代打や代走が出てきてそのあとどうなるか」という試合展開の面白さがある一方で、この楽しみが無いがゆえに試合が単調化してしまうというデメリットがあります。
まとめ
試合の流れから選手の能力向上、さらには見ている人に楽しみを与えてくれることに一役買っているこのDHシステム。さらに野球用語に詳しくなって試合観戦を楽しんでいきましょう。